生活習慣病の患者の指導は簡単なものではない。
実際、指導を任された看護師の多くがしばしば頭を抱えてしまっている現状がある。
生活習慣病の患者を治療するためには、食生活を変えたり運動を習慣化したりしてもらう必要がある。
人に対して、今までずっとやってきたことをやめるように指導したり、やったことがないものに取り組むように促したりすることは、当然難しいことだといえる。
具体的には、高血圧だから塩分を控えるよう指導しても「食事がおいしくない」と言って減塩食をやめてしまう、糖尿病だけど糖質の多い清涼飲料水を毎日飲む習慣がやめられないといった事例はよくある。
では、このような状況をどうやって打破すればいいのかについて考えてみよう。
まず、生活指導の効果が上がらない原因として、患者に本気で向き合っていない、もしくは本音を聞き出せていないという点が挙げられる。
色々な患者をケアする中で、時間的にさばけることを第一に考えており、自分の言いたいことだけを伝えて終わってしまってはいないだろうか。
言いたいことだけ言って自分のことは何も聞いてくれなければ、患者はただ生活習慣の問題を指摘されただけで不満に思うだけだ。
さらに、自分の健康のことを思って言ってくれているようには思えず、ただマニュアル通りに生活指導をされている印象を受ける可能性もある。
そういった指導をしていれば、当然ながら誰も真剣に生活改善に取り組もうとはしないだろう。
そうならないためには、時間をかけて患者の言い分を最後まで聞くことが大切だ。
患者ができない理由を理解した上で具体的な対処方法を指導すれば、きっと主体的に取り組んでくれるようになるだろう。
生活指導は特にプライベートな部分なので、できるかぎり相手に耳を向けて、本音を聞くことを忘れないようにしよう。